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平成10年 御堂筋パレードにて

巡行時の役割

 

①高張提灯(たかばりちょうちん)・梵天(ぼんてん)

高張提灯は巡行の先頭で地車の到来を告げる標識で、長さ約4mの竹棒の先の提灯には東之町と書かれています。梵天は長さ2m弱の竹棒の先に御幣を取り付けたもので、巡行先でお祓いをする時に上下に振って使います。

 

②綱先(つなさき)・綱元(つなもと)

主に広い道で綱によって地車を曳きます。就学前また小中学生やその保護者に、ところどころ若中や中老も加わって曳きます。宮入の時だけは東之町の法被を着ている必要がありますが、日中の巡行は私服でも構いません。狭い道や危険を伴う場所では綱を外して、地車の周囲の若中だけで動かします。

 

③梃子(てこ)

梃子は地車のブレーキの役割です。泉州の地車のような激しい動きをしませんので、梃子で舵を取ることはありません。担い棒の上に世話人が座って梃子を操作します。ちなみに後梃子もありません。舵取りは地車の周囲の担い棒に肩を入れて行ないます。

 

④囃子方(はやしかた)

大太鼓、小太鼓、鉦の3人により囃します。お囃子の競演など、地車が動いていない時のお囃子は基本的に大太鼓の合図によりリズムが移り変わりますが、巡行のように地車が動いている時は全て鉦がリードします。というのは、東之町の地車では囃子方は後方を向いて座ります。それに前面と側面に幕も張りますので地車の進行方向はまず見えません。そこで鉦の人が首を少し回して前方をチラ見して、地車の現在位置と進行方向を確認して、リズムを速くしたり遅くしたりします。大太鼓と小太鼓はすかさず鉦に追随して、お囃子全体を整えます。

 

⑤屋根方(やねかた)

屋根方は屋根の上で龍踊りや逆立ちを披露したり、巡行時は地車が道路標識や民家にぶつからないよう指図したりします。逆立ちをするのは、宮入の担ぎ上げの時など特殊な場面のみです。屋根には専用のグリップや命綱の類は一切なく、まさに命懸けです。屋根の箱棟(はこむね)という大棟部分に肩を当てて、彫り物の隙間を持って、肩と両手の三点で倒立し、お囃子に合わせて両足を前後や左右に開いたり閉じたりします。

 

⑥地方(じかた)

単に若中という時もありますが、屋根方と対比して地方(じかた)という時もあります。地車の後方、担い棒の内側に2人、担い棒に5人が肩を入れて、地車を押したり左右に舵を取ったりします。地車の駒は木製ですが補強に鉄輪がはめてあるので、そのまま引きずって舵を取ると鉄輪が道路のアスファルトを削ってしまいます。そこで舵取りは基本的に地車を少し持ち上げて、左右に動かしてから地面に下すという作業を繰り返します。地車は重たいので、何度も持ち上げるのは大変な労力です。

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